ヤクザと執事と私 1

私の唇のすぐ側に、執事の唇が・・・。


何かの拍子でくっついてしまいそうな距離。


私の中に、執事の唇に引き込まれそうな感情が芽生えるが、私は理性で必死にそれを押しとどめる。


「・・・熱は無いようですね。」


執事の唇は、私から離れていった。


私は少し後悔を覚える。


(私、冷静になれ!)


自分自身に言い聞かせる。


ここで執事にキスしてしまったら、それこそ、執事の側には、居れなくなってしまう。


それは、最悪の状況。


「どうした?さっさと行こうぜ!」


執事が出てきた車とは違うもう一台の車の中から、不機嫌な声が聞こえてきた。


「わかりました、組長。」


執事が聞こえてきた声に返事をする。
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