ヤクザと執事と私 1
この言葉にその場にいる組長以外全員が目を合わせる。
みんなの気持ちは、(それを組長がこの場でいうか!)
しかし、さすがにその言葉を口に出す人はいなかった。
「・・・そ、そうですか。それでは、この後、ここをどうするか話合いましょうか。」
執事がとりあえず場を落ち着かせる。
「俺は、高級クラブなんかいいと思うんだけど、どう思う?」
組長はニヤケた顔で最初の意見を出す。
(結局それか!)
再び、一同が顔を見合わせる。
「え、何?その反応。だめ?だめなの?」
組長はみんなの反応を見て、少し不安そうに周りを見渡す。
「・・・それはまずいだろ。」
真木ヒナタが組長ではなく執事に聞く。
「そうですね。笹山組が直接、高級クラブ経営に手を出すとなるとシマの中にある他の高級クラブに迷惑がかかりますしね。」
「・・・やっぱりだめなの?」
悲しそうな表情の組長が下から執事を見つめる。
「・・・そうですね。だめというか・・・無理、不可能、迷惑、・・・まだ言葉をあげますか?」
冷たい表情で組長を見る執事。
「・・・いえ、結構です・・・」
下を向いて落ち込む組長。
しばらく静寂が一同を包み込む。
「もうこの際、店舗を貸し出したら?ここ組の持ち物だろ。」
「最後の手段としてはそれもいいですけど、やっぱり収入が減りますし。」
真木ヒナタの意見に執事が答える。
「まいったなぁ~・・・お前らは何かアイデアはないのかよ。」
真木ヒナタが私とサブを見る。