ヤクザと執事と私 1
執事は、私を起き上がらせてすぐにポチの状態を見る。
「・・・どうやら切り傷だけのようですね。すぐに意識も取り戻すでしょう。」
執事は、ポチの顔に刺さった小さなガラスの破片を抜きながら、安心したように一息つく。
私とサブも安心したようにお互い顔を見合わせる。
「おい、龍一。そこ終わったんなら、こっちこいよ。」
Barの奥から大きな木箱を持って歩いてきながら、組長が執事に声をかける。
「了解致しました。それでは、小夜さんとサブさんと真壁さんは、Barの奥に隠れておいてください。あっ、サブさんはポチさんを背負っていってくださいね。」
どうしていいかわからない私達にそういい残すと、執事は組長の方へと歩いていく。
私達は執事に言われたとおり、Barの奥へと身を隠す。
身を隠してすぐに、入り口の開く音がする。
戻ってきた真木ヒナタが執事と組長と話す声が聞こえてきた。
「・・・囲まれているな・・・・・・・・・・それはないだろ。・・・・・・・しょうがないな。それでいくか。」
3人の話し声が所々、聞こえてきたが、何を話しているのかまでは、所々ではわからなかった。
息をひそめて、Barの奥に隠れていた私達のところに真木ヒナタが来た。
その片手には、誘拐された時に見たものと同じような拳銃が握られていた。
私は、真木ヒナタよりもその片手に握られた拳銃に目がいく。
そんな私の視線に気づき、バツが悪そうな顔をして、真木ヒナタは持っていた拳銃を背中のベルトに隠した。
「おい、この店の奥に裏口があるから、そこから逃げるぞ。用意しろよ。」
真木ヒナタが私達に声をかける。