ヤクザと執事と私 1
第3節:逃亡
真木ヒナタの後ろについて行くと、店の一番奥の冷蔵庫の前で止まった。
「おい、真壁だっけ。お前、ちょっと手伝え。」
真木ヒナタは、真壁純に声をかけると、2人で冷蔵庫を横にずらした。
そこには、冷蔵庫の裏に隠された階段があった。
「ちょっと待ってろよ。」
私達にそういい残して、真木ヒナタが階段を上がっていく。
そんなに時間はかからずに真木ヒナタは戻ってきた。
「よし、ここは大丈夫みたいだから、行くぞ。」
真木ヒナタを先頭に私と真壁純、ポチを背負ったサブが階段を上がっていく。
階段を上がりきり、ドアを開けると、そこは両側をビルに囲まれた路地裏だった。
急に明るいところに出て目がくらみ、思わず立ち止まる私。
「小夜、止まるなよ。」
そんな私にすぐに真木ヒナタが声をかけてくる。
その様子は、昨日のどんな状況でもふざけていた真木ヒナタではない。
私達にも真木ヒナタの緊張が伝わってきて、一同、無駄口ひとつ叩かず、真木ヒナタの後ろをついて行った。