ヤクザと執事と私 1

「悪いな、ママ。襲撃されちゃったよ。」


「襲撃?」


「ああ、それで、悪いんだけど、ちょっとの間、こいつら預かっておいてくれないか?」


真木ヒナタが私達を指さしながら、ママと呼ばれた女性に尋ねた。


「う~ん。別に構わないけど、ヒナタちゃんはどうするの?」


状況に似合わないゆったりとした口調で真木ヒナタにママと呼ばれた女性が聞き返す。


「ああ、大和と龍一が俺達が逃げる時間かせいでくれてるから、俺もそこに戻るよ。」


「え~、危なくないの、ヒナタちゃん?大和ちゃんと龍一ちゃんなら大丈夫よ。ヒナタちゃんもここにいた方がよくない?」


相変わらずゆったりとした口調だが、真木ヒナタのことをかなり心配そうなママの様子。


「まぁ~・・・そうかもしれないけど、一応な・・・大和と龍一を殺すのは俺だって決めてるから、他の奴らに殺されるのは・・・ちょっとシャクだからな。」


真木ヒナタは頭をかきながら、ママに答える。


「・・・もう相変わらず、素直じゃないんだから・・・」


真木ヒナタの答えにどこかうれしそうなママ。


「おい、そういうわけだから、お前らは俺達が戻ってくるまで、ここで待ってろよ。・・・真壁は、関係ないからとっとと、どこでも行っていいぞ。」


私達にそれだけ言い残すと、真木ヒナタが出て行った。


まったく知らない場所に取り残されて、どうしていいかわからない私達。


私とサブと真壁純は、お互い目を見合わせる。
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