ヤクザと執事と私 1
第4節:新しい私
髪を短く切って、男物の服に身を包んだ私は、今までの私とはまったく別人。
帽子までかぶるとどこから見ても、男そのものだった。
シゲ爺が持ってきてくれた男物の服は、女の私でも知っているような有名ブランドのもの。
「これ、どうしたの?」
私が怪しそうな表情でシゲ爺を見つめる。
「盗んだんじゃないぞい。高級住宅街のゴミ捨て場にはこれくらい普通に落ちてるんじゃ。」
誇らしげにシゲ爺が胸を張る。
「なかなか似合ってるじゃないかい。小夜は胸が小さいから、男物の服を着ると本当の男の子に見えるね。」
ハルさんが可笑しそうに笑う。
「もう、うるさい!ハルさん。・・・今から・・・成長するんだから・・・」
私は、語尾になるにつれ、だんだんと小さい声になりながら反論する。
シゲ爺をハルさんは2人で顔を見合わせて、笑っていた。