ヤクザと執事と私 1

第4節:新しい私



髪を短く切って、男物の服に身を包んだ私は、今までの私とはまったく別人。


帽子までかぶるとどこから見ても、男そのものだった。


シゲ爺が持ってきてくれた男物の服は、女の私でも知っているような有名ブランドのもの。


「これ、どうしたの?」


私が怪しそうな表情でシゲ爺を見つめる。


「盗んだんじゃないぞい。高級住宅街のゴミ捨て場にはこれくらい普通に落ちてるんじゃ。」


誇らしげにシゲ爺が胸を張る。


「なかなか似合ってるじゃないかい。小夜は胸が小さいから、男物の服を着ると本当の男の子に見えるね。」


ハルさんが可笑しそうに笑う。



「もう、うるさい!ハルさん。・・・今から・・・成長するんだから・・・」


私は、語尾になるにつれ、だんだんと小さい声になりながら反論する。



シゲ爺をハルさんは2人で顔を見合わせて、笑っていた。


< 24 / 287 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop