ヤクザと執事と私 1
第6節:真木ヒナタの過去 中断
ママは、ここで一息ついて、テーブルの上のすでに冷めてしまった紅茶を一口飲む。
私は、そのママの動作を見て、やっと現実に引き戻される。
私もママと同じように冷めた紅茶を乾いた唇に運ぶ。
サブは、ママを見たまま、身動きひとつしない。
「新しい紅茶いる?」
ママは真木ヒナタの過去を語っている時とは違い、朗らかな話し方で私とサブを見る。
「あ、お願いします。」
私の返事を聞いて、ママは奥へと歩いていった。
「それにしても、サブさん、驚きましたね。」
私は、サブを見る。
「・・・ああ、驚いた。」
サブは、私が話しかけて、やっと真木ヒナタの物語から抜け出せたように軽く体を動かす。
「まさか真木さんの過去があんなだなんて・・・」
「・・・ああ、俺も驚いたよ。・・・いきなり怪談話になるんだもんな・・・」
「・・・・はい?・・・・サブさん?・・・・何言ってるんですか?」
私は、意味の分からないことを言い始めたサブに聞いた。