ヤクザと執事と私 1
「え、だから、話の最後の方が怪談話だっただろ。俺、驚いたよ。恥ずかしい話、俺さ、怪談話苦手でさ。」
本当に恥ずかしそうに少し舌を出しながら、サブはおちゃらけてみせる。
(・・・いや、サブさん。私は、今の話を怪談話ととるあなたの方が恥ずかしいよ・・・)
私は、口には出さずに、冷たい目でおちゃらけているサブを見る。
「え、小夜、何?その冷たい目。」
サブはなぜ私に冷たい目で見られるかわからないといった表情で私を見かえす。
私は、こんな話を聞いたあとで、サブにわざわざ説明する気になれず、あえてサブを無視した。
(・・・それにしても、なんでロシアにいた真木さんは、今、ここにいるだろ?)
そんなことを考えていた私に、ママが新しい紅茶を入れて戻ってきた。
私は、ママが入れてきてくれた新しい紅茶に口をつける。
ママも、元のイスに座る。
「どうする?続きも聞く?」
ママが私とサブを真っすぐ見つめる。
私は、即答で「はい。」と答えた。