ヤクザと執事と私 1
「ヒナタお兄ちゃん、今日も遅くなるの?」
アパートの部屋でレナが真木ヒナタに話しかける。
一時期とは違い、レナもかなり太った。
といっても、前がガリガリだっただけで、普通に戻っただけだが。
真木ヒナタは、仕事が忙しいため、部屋の事はすべてレナに任せていた。
「ああ。」
真木ヒナタは、質問のみに答える。
この頃になると、めっきり真木ヒナタの口数は減っていた。
「・・・ヒナタお兄ちゃん、背が伸びないね?」
レナは、すでに真木ヒナタの身長を超えている。
いくら真木ヒナタが、日本人とのハーフとはいえ、年齢の割に身長が低すぎた。
そんな真木ヒナタをレナが心配していることは、真木ヒナタ本人も気づいていた。
しかし、それについて真木ヒナタは、レナには一切教えなかった。
なぜなら、真木ヒナタの身長は、あえて薬で抑えているから。
一昔、ロシアの体操選手が、体操に有利という理由で飲んでいたとされる体に有害な身長を抑える薬。
真木ヒナタは、その薬を暗殺に有利という理由で飲まされていた。