ヤクザと執事と私 1
それから数日は、ほとんど公園から出ることなく、私は過ごした。
理由は、私はかなり遠くまで来たつもりでいたが、実際は、私がいたアパートからたいして離れてなく、公園の近くまでヤクザが私を探しに来て出会ってはいけないから。
「まぁ、1週間もすれば、大丈夫だろうよ。」とハルさんは言っていた。
その間、私は、ハルさんの所で寝泊りしていた。
ご飯はすべてハルさんやシゲ爺がお世話をしてくれて、私は何一つしなくてよかった。
(でも、これじゃ、両親に頼りきっていた今までの私とちっとも変わらない!)
私は、公園に来て4日たったある日、ハルさんに私の決意を告げた。
「ハルさん・・・私もハルさんのようにご飯とか自分で用意できるようになりたい。」
ハルさんは少しにやけたが、すぐに真顔に戻ると、
「小夜の気持ちはわかるけど・・・やめときな。」
と哀しそうな目で私を見つめた。
「なんで?」
私はハルさんに問い詰める。
「あたしやシゲ爺はもう老人だから、道端で変な行動してても見逃してもらえるけど、小夜はそうはいかないだろ。へたしたら、警察呼ばれちまうよ。」
「・・・・」
またしても、私の若さが問題だった。
私は、1人では生きていけない、16歳のホームレス。
社会から、はみ出してしまっている・・・