ヤクザと執事と私 1
夜が明け、いつも通りの朝が来て、街は、またいつも通りの一日を送り始めた。
誰が傷つこうが、時間が立ち止まることは決してない。
その日も、いつものように時間が過ぎていき、運命の夕刻を迎える。
街角には、一台の車。
他の車との相違点は、運転席の窓がないこと。
ひとりの老人が、いつものように一軒の店に入るのを確認する。
「それじゃ、いこうか?」
「そうですね。行きましょうか。」
「うん?どこへ?」
後部座席でうたた寝していた大和は、気にせずに、真木ヒナタと龍一は、顔を見合わせ、うなずきあう。
そして、女装をした真木ヒナタが、車のアクセルを全開に踏み込んだ。
車は、一直線に道路を横切って、先ほど老人が入っていった店へと突っ込んだ。