ヤクザと執事と私 1
真木ヒナタと老人の間を緊張した静寂が満たす。
すでに龍一は、店にいた連中を叩きのめして、真木ヒナタの様子を見守っていた。
「・・・そうじゃな、その拳銃をどけてくれたら、思い出すかもしれんよ。」
騒音の中の静寂を破り、老人が話す。
「・・・そうか。」
真木ヒナタは、老人の言葉にそれだけ言うと、拳銃の引き金を弾いた。
後頭部を撃ち抜かれた老人は、真っすぐテーブルの上の皿へと倒れ、その溢れだす血で皿を一杯にした。
「・・・いいのですか?」
老人を撃ち抜いた状態のまま固まっていた真木ヒナタに龍一が声をかける。
「ああ、最後の言葉でこいつが何も言わない事がわかったからな・・・生かしといて、これ以上、レナが狙われるのもめんどくさいしな。」
真木ヒナタが、笑顔を作る。
その笑顔は、笑顔にもかかわらず、見たものの心に哀しみを感じさせる笑顔だった。
「そうですね。」
「・・・ところで、あんた達もこいつ狙っていたみたいだけど、よかったのか?」
「結果は同じです。」
それを聞いて真木ヒナタは安心したような表情を浮かべる。