ヤクザと執事と私 1
「そうかい・・・それなら、いいけど・・・」
不審そうな顔で私を見つめるハルさん。
すぐに再び歩き始めようとするが、すぐにまた、私の方を向く。
「な、何?」
恥ずかしさもあり、ややあせってハルさんに話しかける。
「・・・ひとつ言い忘れてたんだけど・・・」
ハルさんは言いにくそうにしている。
「何?」
今度は落ち着いて声を出す私。
「・・・小夜のこと・・・相手には・・・男って言ってるんだよ・・・・」
ハルさんはやや私から視線をはずしている。
「・・・・男って・・・えええぇぇぇぇぇぇぇーーー。」
思わず大声になる私。
「・・・いや、ねぇ、そのお金持ちの家って・・・ちょっと・・・16歳の女の子1人が勤めるには・・・なんていうか・・・ちょっとだよ・・・ちょっと・・・危険?っていうか・・・」
ハルさんはもの凄く言いにくそうだ。
「いや、ハルさん、意味が分からないんだけど?」
私の疑問は当然だ。
「・・・まぁ・・・いけばわかるさ。」
ハルさんは、私に最大級の不安を与えたまま、前を向いて歩き出す。
(そんな・・・説明してくれないと・・・)
私は先ほどの気持ちと違い、不安ほぼ100%の気持ちでハルさんの後ろをついていった。