ヤクザと執事と私 1

しかし、取引相手がわかったのは幸運だった。


(子供の人身売買に関わった奴らは、・・・)


真木ヒナタは、心の奥でひとりつぶやく。


「・・・ヒナタさん、大和がボスになったら、いくらでもその取引相手と戦えます。・・・ですから、今は、我慢してくださいね。・・・その時は、私達も協力しますから。」


真木ヒナタの様子に気づいた龍一が、真木ヒナタに声をかける。


「・・・ああ、わかってるよ。・・・暗殺者はいつでも冷静なのさ。」


とても冷静ではない様子の真木ヒナタが答える。


「まぁ~とりあえず、この戦利品でパァ~っと遊びたいよな。」


雰囲気を粉々に破壊しながら、大和が話始めた。


ただ、今回は、龍一は、大和を責めなかった。


壊すべき雰囲気というものも存在する。


大和は、バックの中身をうれしそうに眺めている。


中には、レナに渡したバックと同じように大量の札束が入っていた。


このバックとレナに残してきたバックも、大和が厨房の隠し扉の奥で見つけてきた戦利品だった。


「なぁ~、なぁ~、どうせこれ国外に持ち出せないんだろ?どっかでパァ~っとやろうぜ?」


「・・・そうですね。それでは、次の駅でおりましょう。」


「ヤッホ~イ!」


大和が龍一の言葉にうれしそうに飛び上がる。


そんな様子の大和を真木ヒナタは笑みを浮かべて眺めていた。


しかし、そんな中でも心の中では真木ヒナタは、新たに始まる人生に誓いを立てていた。


(子供の人身売買に関わった奴らは・・・皆殺しにしてやる。)


それは、怨念を含んだ重く、暗い誓いだった。



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