ヤクザと執事と私 1
その時、起こったことを、私はしばらく忘れることが出来なかった。
テレビから聞こえてきた甲高い一筋の発砲音。
そして、崩れ落ちる・・・真木ヒナタ。
テレビのアナウンサーの絶叫する言葉「人が撃たれました。」が、静けさに包まれた室内に響き渡る。
倒れた真木ヒナタをズームアップするカメラ。
その上半身の白いシャツが次第に紅く染まっていく様子がテレビに映し出されていた。
私達は、ただそれをテレビで見ておくことしかできなかった。