ヤクザと執事と私 1
すぐに男が戻ってきた。
「ハル婆、組長が入っていいってよ。」
「ありがとうさん。サブ。」
ハルさんは男のことをサブと呼ぶと、軽くサブと呼んだ男の肩を叩きそのまま扉の中に入る。
私は、ハルさんにこのままついていくべきか迷っていたが、サブと呼ばれた男にひと睨みされ、しょうがなく、ハルさんの後ろをついて扉の中に入っていった。
扉を中に入っても、建物の入り口までは、まだ少し距離がある。
(どれだけ悪いことすれば、こんな豪邸が建つんだろう?)
私は思わず立ち止まり辺りを見渡す。
「小夜、何してんだい?行くよ。」
私は、ハルさんに呼ばれ、あわててハルさんの後を追った。