ヤクザと執事と私 1
しかし、男は畳に投げ捨てられるどころか、その大きな体をまるで猫のようにあつかい、うまく足から着地してみせた。
「へぇ~、やるじゃないか、小僧。」
私に背中を向けたまま、男がしゃべった。
私が投げたにもかかわらず、不思議と言葉に怒気はこもっていない。
「小僧、何かやってたのか?」
男が振り返り、私を鋭い目で見つめる。
「・・・は・・・い。」
男の鋭い目で私はうまく声を出すことができない。
バシッ!
いきなりハルさんが男の頭をジャンプしながら右手で叩いた。
「こらっ!大和!いきなり何してんだい!」
「ちょっと待ってくれよ。投げられたの俺だぜ。」
男は先ほどとは違いやわらかい目つきになりハルさんに話しかける。