ヤクザと執事と私 1
(・・・この人、・・・単純。)
私以外の人でも、この笹山大和の様子を見るとそう思うに違いないと私は確信した。
その時、再び部屋に人が入ってきた。
「・・・この部屋で何をなさっているのですか?組長・・・」
入ってきた男は、入ってきてすぐに冷たい声で笹山大和に語りかける。
(・・・!!!)
私は、入ってきた人を見て驚いた。
入ってきた人は、なんとあの私をやくざから助けてくれた執事だった。
「・・・いや、あの、たまたま、この部屋の前を通りかかったら、ハル婆が来てたからさ・・・挨拶でもと思ってさ・・・」
笹山大和は大きい体をハルさんの後ろに必死に隠しながら、言い訳を始める。
「私の記憶が確かでしたら、組長は今、部屋でやくざの帝王学を学ばれてる時間のはずですが?」
さらに冷たく執事が言い放つ。