ヤクザと執事と私 1
「何をですか?」
「・・・執事さんは・・・ある意味・・・この屋敷の中で最凶だからな!」
サブの声が少し震えている。
「・・・最凶?」
私は意味が分からず聞き返す。
「・・・そう・・・あの人・・・このやくざの世界では、紅の執事って呼ばれてんだ。」
私は、前に3人のやくざから助けてもらったときに、その3人が執事のことを『紅の執事』と呼んでいたのを思い出した。
「それはな・・・あの人の服がすぐに真っ赤になるからなんだ・・・。しかも、相手の返り血で・・・。別名、血まみれ執事って影で呼ばれているくらいなんだ。」
サブは周りを確認しながら、誰もいないことを確認しながら、小さい声で私に話しかける。
「この前も、少し買い物に出かけただけなのに、帰ってきたときは服は血まみれ・・・いくらやくざでも考えられねーよ。」
サブは少し体が震えている。
ただ私は、その血まみれの理由を知っているだけに、少し悪い気がしていた。
(たぶんそれは、私を助けてくれた時のこと・・・)
「とりあえず、あの人怒らせたら・・・。頑張れよ。」
サブは私の手を握り、励ましてくれた。
でも・・・始まる前に励まされても・・・・私の不安が大きくなるだけだった・・・