ヤクザと執事と私 1
それから、私は必死に部屋の外へと逃げ出した。
後ろからは、奴らの声が追いかけてくる。
私は振り向かずにとにかく逃げた。
でも、しょせんは男と女。
走るスピードが違いすぎる。
私は、アパートから少し離れた公園の前で追いつかれてしまった。
公園には人がいるが、みんな私をみても知らんぷり。
当然だった。
私を追いかけているのは、一目でわかるヤクザ。
誰もかかわりたくはない。
それでも、私は誰かに助けを求めようと必死に周りを見渡す。
公園のそばの道路を悠然と歩いている1人の男。
私は藁にもすがる思いで、その男に助けを求めた。