ヤクザと執事と私 1
「そういえば、まだ自己紹介をしていませんでしたね。」
執事は、今、人を殴ったとは思えないほどの笑顔で私を見つめる。
その時、私は、この天使の笑顔の奥に悪魔がいるように感じた。
しかし、・・・・やっぱり、カッコイイ・・・どうしても、うっとりなってしまう。
特に、その危うさに引かれる自分を感じていた。
「私は、水島龍一と申します。龍一さんとでも呼んで頂ければ結構です。」
私は、執事の目の中に引き込まれる。
「小夜さん?」
私は、先ほどのことを思い出し、あわてて返事を返す。
「はい。かしこまりました。龍一さん。」
執事は、少しおかしそうに笑った。
「よく出来ました。それでは、仕事に取り掛かりましょうか。小夜さん。」
私は、執事の後ろをついて歩いていった。