ヤクザと執事と私 1
ドカァッ!!!
いきなりやくざがイスから転げ落ちた。
執事だ。
執事は、私を馬鹿にしたやくざを殴りつけ、私のおしりに触ったやくざを左手一本で空中に持ち上げている。
持ち上げられているやくざは、首を掴まれているため、本当に苦しそうにもがいている。
「あなたたち、私の見習いに手を出すとは、死にたいのですか?」
一瞬で場が静まり返る。
ただ1人、笹山大和組長だけが、その様子を見て、ひとりで笑っている。
誰も執事に声をかけることができない。
執事の周りの空気は冷気さえ感じられるほど、冷たい。
「返事がないようですね。それでは、あなた、殺してあげましょう。」
執事がやくざを持ち上げている左手に力を込めたのがわかった。
私は、あわてて執事の左手に飛び掛る。
「わ、・・俺は、大丈夫ですから。」
しかし、私が飛び掛っても、執事の左手はビクともしない。
左手に持ち上げられて首をしめられているやくざが、さらに苦しそうにもがき苦しむ。