ヤクザと執事と私 1
笹山大和組長の顔は、みるみる汗が溢れてきていた。
「そ、そ、そんなわけないだろ。何言ってんだよ?」
私が見ても、明らかに様子がおかしい。
笹山大和組長がしきりに部屋のクローゼットをチラチラ見ている。
私でも気付くのだから、当然、執事も気付いてクローゼットの方に歩いていく。
「な、な、なんだよ、龍一。そんなところに何かあるわけないじゃないか。」
子供でもここまでわかりやすい行動はとらないだろうという笹山大和組長の行動。
私は、笑いそうになるのを必死にこらえる。
執事が笹山大和組長の言葉を無視して、クローゼットを開けると、そこには3匹の子猫が気持ち良さそうに寝ていた。
(・・・かわいい!)
私は、思わず叫びそうになるのを必死で抑えた。