ヤクザと執事と私 1

「いや、ほら、朝、ジョギングに出たらさ、捨ててあったんだよ。・・・かわいそうだろ、こんなに小さいのに。」


笹山大和組長はしどろもどろで執事に弁明している。



「・・・まったく、しょうがありませんね。」


執事は、クローゼットの中の子猫が3匹寝ているダンボールを子猫が起きないようにゆっくりと持ち上げる。


「組長、今は子猫とじゃれている場合ではありませんよ。1週間後には、笹山組の命運を握るブツが荷揚げされるのですよ。今のうちにしっかり準備されておきませんと。」


執事が笹山大和組長を哀しそうな目で見つめる。



「わかってるよ・・・」


笹山大和組長は、手をひらひらさせて、わかったとゼスチャーする。


「とりあえず、子猫は私が預からせていただきます。小夜さん、いきますよ。」


執事は、子猫が入ったダンボールを抱えたまま、笹山大和組長の部屋を出る。


私は、さっきの会話のブツと言う言葉がもの凄く気になったが、(ヤクザのブツって・・・私は聞いてないことにしよう。)と深く心に誓った。



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