ヤクザと執事と私 1
「それでは、これは小夜さんが使ってください。」
執事は私の頬から手を離し、ポケットから携帯電話を取り出す。
「・・・これを・・・ですか?」
執事から携帯電話を受け取る。
「はい。何かあった時、携帯電話がないと困りますし。電話料金は、仕事上必要なものですので、こちらで出しておきますので気にされなくても大丈夫ですよ。・・・ただ、絶対、何があっても携帯電話だけは、肌身離さず持っておいてくださいね。」
「はい、かしこまりました。」
私は、にやけそうになるのを必死に我慢した。
夢にまで見た携帯電話。
たとえそれが仕事上のこととはいえ・・・うれしい。
「それでは、門のところでサブさんが待っているはずですから、買い物よろしくお願いしますね。」
「はい、行って参ります。」
私は、執事に見送られながら、門へと歩いていった。