SECRET&LIMIT-王子×凡人-
「あ…あぁ。どうもそうらしいな。友達だと言ってヅカヅカ上がっていったからな…」
兄は流稀から聞いていたのだろう。
だけど、流稀もまたアタシと同じく兄に嘘を付いているみたい。
今まで兄に嘘を付いたことの無いアタシは、心がズキッと痛む。
人に嘘を付くということの罪悪感を改めて学んだ。
しかしながら、今だけはこの嘘を突き通さねば…
「龍兄、流稀をリビングに連れていって貰える?アタシ、着替えなきゃ…」
「あ、あぁ。そうだよな。る…流稀くん、ついて来い。」
「…はい。」
流稀は大人しく兄のところへ向かい、兄の先を歩く。
「んじゃ、また後でな」
と言ってドアを閉めようとした兄に向かって
「龍兄!!」
「ん?どうした?」
「ベッドに寝かせてくれたのってお兄だよね。ありがとう。」
アタシは笑顔で兄にお礼を言う。
兄はプッと笑い、゙早く着替えて降りてこいよ゙と言ってドアを閉めた。