SECRET&LIMIT-王子×凡人-
兄は優しい…
いつだって一番に考えてくれるのはアタシのこと。
もしかすると、父や母よりも兄から愛情を沢山貰っているかもしれない。
もっと兄は自由でいればいいのに…とつくづく思う。
だから、アタシは兄離れをしなきゃいけないんだよね。
兄を自由にする為に…
兄をこれ以上苦労させない為に…
「よしっ!!今日も一日頑張るぞっ☆」
ドタドタドタ――
ガチャン!!
「龍兄、流稀、準備出来たよっ!!」
アタシが元気よくリビングに入るとソファーの上には流稀が居て、キッチンには兄が居た。
「はぁ〜…ったく、準備おせーよ。」
大体、30分くらいしか待たせてないのに、流稀は1時間も2時間も待たせたかのような言いぐさをする。
「あーはいはい。ごめんね。」
アタシは素っ気ない言い方で謝る。
だって別に長時間待たせた訳でもないし、女の子は準備に多少時間が掛かるものなのっ!!!
「んま、別に良いけどよ。仕返しするし。」
そう言ってソファーから立ち上がり、アタシのところへ向かってくる流稀。
「えっ…今、仕か…ムグッ……」
゙仕返しするって言った?゙と言おうとしたのだけれど、流稀はアタシの口元を片手で覆い言葉を発せないようにした。
モガモガとアタシはもがくけれど、無意味な抵抗だった。
「それじゃ、お兄さん。行ってきます^^」
と流稀が言ってリビングのドアノブに流稀が手を掛けたところで、兄がアタシ達に近寄りアタシに言う。