オレンジの陽だまり
「また黒くなったなー」
そう俺が言うと、ニカッと白い歯を見せて笑顔になった。
「まぁね。仕方ないっしょ。焼けた肌とソックス焼けはサッカー部の勲章だって」
「ふーん、そういうもん?」
サッカー部って聞くと、初めに思い浮かぶ印象って、なんとなくチャラ男の集団って感じなんだけどな。
ま、コイツの前では死んでも言えないけどさ。
「千紘も部活入れば?運動神経、かなり良いのに」
「ダメダメ。運動神経が良かったのは中学まで。過去の栄光だね」
確かに中学時代の運動神経は、自分で言うのも何だがかなり良い方だったと思う。
けど今の俺の身体を見てみろ。
全盛期と比べたら、体脂肪率も半端無い数値を叩き出すし、体力も落ちた。
情けない話だが、最近お腹がたるんできたような気もするし。
「ってか、お前、何で学校行くの?」
「んー?模試だって」
俺は参考書を閉じて、バッグに突っ込んだ。
「ホントにお前って何やらせても天才だよなー」
と言った輝は更に続けた。
「この間の全国模試、お前また1位だろ?信じられねー」
羨ましい、そんな言葉を何度耳にしたことだろうか。
羨ましいと思うなら、勉強をすればいいだけの話。
1位になりたいから勉強をしたワケじゃない。ただ何もする事がなかったから勉強した。
その結果が1位。