オレンジの陽だまり

「お前の頭の中を見せろー!」

「輝に解剖が出来ればの話だけどー」

「何?そんなに俺のかかと落とし、喰らいたいって?」


足を軽く振っている。ズボンを履いていても分かるほど、コイツの筋肉は凄い。


「喜んで辞退します」

「つまんねーの」

「人の頭かち割ることが楽しいことかよ……」

「冗談に決まってんだろ」


それくらいは分かってるけど。


ん?あれ?


「今日練習無いの?」

いつも肩から提げているあの大きく膨らんだエナメルが無いのに気が付いた。


「本当はオフ日だったんだけど、急遽ミーテングになった」


少し曇った表情を見せた。


「何で?」

「ほら、女子サッカー部」

「通称はきだめ部がどうかしたワケ?」

「あの部活も一応はサッカー部だから、グランドの割り当てがされてるんだ」


へぇ。あんな部活でも練習はしてるんだ。

俺は純粋に感心した。


「あんな練習もろくにしない部活に練習場を取られて、その日は俺達はサブでしか練習できないんだよ」


あ。やっぱり練習はしてないんだ。名だけの練習ってことか。


「練習の質も本グラウンドよりかなり落ちるから、全国狙う俺達にとって、女子サッカー部はかなり邪魔な存在なの」


はっきりとエースに言われちゃったな。


「んで、今日は女子サッカー部の練習場について、監督とか顧問交えて話し合いだってさ」

「確かに、それは邪魔だな」

「だろ?千紘もそう思うだろ?廃部寸前ならもういっその事廃部にしてくれりゃーいいのに」

「確かになー」

「ってか、ものの見事に個性豊かなメンバーになったよな」

「まぁ、どこの部活にも所属できなかったメンバーの集まりだし」


そんな話を俺達は笑いながらしていたのだった。

後々、練習場の権利と評した話し合いで男子サッカー部に立ち向かうことになるのは、他の誰でも無いこの俺自身なんだと、俺は気付くことになる。

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