*Lover's Re Mode*
「お前…ほいほい付いていくなよ」

「…。」

「たまたま無害な奴だったから良かったけど、あんまり気を許すなよ?」

「…。」

「…おい。人の話を聞いてんのか?」

「…。」

「か・な・え?」

ギュムッ

右胸が熱くて痛い。
何かに鷲掴みされているみたいだ。

ぼうっとしながら考え事をしていた私は、奴が何を話しているかなんて聞いていなかった。

ただ、体の異変に少しずつ覚醒していく。

気付いた時には人気の無い教室で、とても不自然な体勢だった。

隣にいた筈の奴の姿が見えない。

まず視界に入ってきたのは男の腕や手。
もう何度か見ている奴のもの。

耳元で感じる奴の息遣い。

背中に熱源体が貼り付いている。
腰に巻き付けられた左腕。
肩に乗せられた整った顔。
右胸を包む右手。

…モミモミ。

鷲掴みされているだけではない。揉まれている。

私の右胸が。
奴の手によって。

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