小は大なり




そんなことを考えていたら、桐也を見つめてしまっていたらしい。
桐也が声をかけてきた。

「何」

『いいえ、別に何でもないけど』

まさか見惚れてたなんて言えないもの。
いくら旦那さまになる人でも、ね?




ここにきて、やっと気付いた。
私が壁だと思ってたモノは階段だったらしい。
改めて自分の小ささを実感させられる。




突然桐也が動き出し、足場となっていた彼の手がグラリと揺れる。

『あ、あの!
どこへ行くの?』

疑問に思って問うたのに、桐也は“何言ってんだ?”というような顔をしている。

『何かおかしい?』

「お前は何しにここへ来たんだ」

『何ってそりゃぁ…結婚しに来たのよ』

「そうだな。お前は結婚しに来たんだ。
じゃあ結婚するにはどうしたらいい?」

『結婚式を……あっ!』




桐也は不安に思っていた。

ただでさえ小さいのにその上バカっぽいとか…
はぁ、先が思いやられるわ……




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