小は大なり


神父様が口にするお決まりの文句が流れてゆく。

「……ち…すか…」


「おい!」

桐也に囁かれハッとする。
「誓いますか?」

『はい、誓います』

「では、新郎、新婦、指輪の交換を」

巨大な指輪をどうにかして桐也の指にはめる。

桐也も私にはめようとしてるけど、彼からしたら私の指輪なんて麦の粒みたいなもの。
難しそうだったから、彼が持ってる指輪に自ら指を差し込んだ。



「誓いのキスを」


一瞬で顔が赤くなったのが自分でも解った。

覚悟はもちろんしてた。
だって結婚するんだから。
でも改めて言われると……



……ていうか、どうやってするの?

なんていったって、桐也の唇は私の頭ぐらいあるのだ。
いささか無理がある気がする。



またしても桐也に囁かれる。

「大きさ的にお前からするしかないだろ」

『――……ッ』

だって、だって、初めてなのにッ!!


でもそこで気付く。
早くしろ、というまわりの視線。

どうやら私に拒否権はないらしい。


深呼吸をする。

よし。大丈夫。






――……チュッ






……最後の方は微妙に記憶が無かったけれど、どうにかして私の結婚式は終わったのだった。



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