魑魅魍魎の菊
昼休み、利枝や栄子達とご飯を食べている時に私はそれとなく《小泉 雛》という人物について聞き出した。
《小泉 雛》
三年 吹奏楽部
容姿上々 性格は少々きつめだが優しい
(ふぅ〜ん。…特に問題点は無いらしいね)
私も何度か廊下ですれ違って、可愛いな…とは思っていたけれど本当に可愛いらしい。
私は話したことがなければ、委員会も違うと来た。
そして、よく加藤さんが働いていた書店の常連客ということしか解らなかったのだ。
でもまぁ…これぐらい解れば、何とかなるであろう。それに細かいことは玖珂の若頭がどうにかしてくれると思う。
「でもさ…雛先輩ってストーカー被害とかよく遭っているらしいよ…」
突然栄子が声を低くして告げて来た。ていうか、何でそんな情報を知っているのよ…
「えぇ〜?!でも可愛いからマジかもね…」
「もしかしてさ!駅前の変質者もそのストーカかもっ!ヤダっ、めっちゃ恐い…」
他の友人よ、気をつけろ。少なくとも私が襲われることはないからな。
(ん?ちょいと待て…)
ふと、弁当をつつく手が止まった。
もしかして——加藤さんの仕業とかないよね?
急に嫌な汗をかいてしまった。じわりとする嫌な感覚。
仕様がない、また玖珂の若頭と対談しなくてはいけない状況になってきた…
生憎アドレスを知らないから、直談判だなこりゃ。一人溜め息を吐きながら昼休みは終わってしまったのだ。