魑魅魍魎の菊






「よっ、玖珂っち」

「おめーが玖珂っちって呼ぶな!!!!」


物凄く怖い顔で睨んで来た玖珂の若頭をスルーしたところで、現在は授業後から大分時間が経って教室には玖珂君と加藤さん以外は居ない。


私は図書室で宿題と戦っていたから別に良いんだけどね。HPがかなり削られたけどスルーだスルー。



「そう癇癪起こさないでよ。カルシウム、カルシウム」

「……黙れ、滅するぞテメェ」

「出来なかったくせに大口を叩かないで」


菊花はまたもや椅子に座りながら鞄からアイスコーヒーを出す。私はカフェインを摂取しないと生きて行けないので。


「高村さん昨日振りだね!!」

「んっ、昨日振りですね加藤さん。——で、玖珂君どうする?」

「どうするって——何をだよ」



正影は怪訝そうな顔をして菊花を睨む。


「加藤さんのことよ。仕事、どうするの?」

「……取りあえず、コイツが働いてた書店に行く」



玖珂君がぶっきらぼうに答えて、リュックを背負う姿を見て静かに笑みを零す加藤さんが居たのだ。



どうやら彼は引き受けてくれるらしい——












「何度か来るが店の中に入るのは初めてだ」

「あらっ、そうなの?」

「玖珂っちちゃんと来てよー!!死んだ俺が言うのもなんだけどさー」



思ったより繁盛しているらしく、色々な年齢層の客が店の中に居るのだった。

駅前なので騒音は凄いが品揃えが良いのでそこまで気にならない。



「玖珂君はここの本屋は利用しないの?」

「あぁ…。俺は近所のショッピングモールの中の本屋で買っている」

「そういえば、玖珂の家の近くに《ハッピータウン》があったね!」


…ていうか、俺はどうしてこの女と普通に会話してんだよ。


 
< 104 / 401 >

この作品をシェア

pagetop