魑魅魍魎の菊
「——わ、私の時計?」
「じゃあ、渡したから。帰る」
私の掌に光るのは、この前の百鬼夜行で投げたままだった時計…。
どうやら彼は持っていてくれたらしい。
そして、廊下を出ようとした玖珂君に私は…
「ありがとう玖珂君!!」
そう叫べば、後ろ姿で手を軽く上げてくれた。言葉なんて…いらないかもしれないね。
ニッコリ笑いながら、席に戻れば…案の定クラスのほとんどに尋問させられたのは言うまでもない。
まぁ、取りあえず仲の良い後輩ということで玖珂くんよ許しておくれよ。
口の中に広がるグレープが爽やかで、とても気分が良い事だけは確かだった。
これから、何か楽しい予感が起こるような気がするんだ。
菊花は青い空を見上げ、これから起こるであろう事件も何でも楽しくこなせそうなそんな予感を抱くのでした。