魑魅魍魎の菊
03.玖珂さんのお宅
とある不良少年の事情
《萩原 龍星》ハギワラ リュウセイ
その青年は高校一年ながらも髪を金髪に染め、生まれつきの強面、幼い頃からやっていた空手のお陰(?)か誰もが恐れる不良になったのだった。
そして——悲しい現実なのか彼も《目に見えないもの》が見える"力"を持っていた…
「はぁ?何でもするですって?」
彼は図書室の隅で女子生徒が何かを足蹴りにしているのを目撃してしまった。——しかもそれは幼気な猫のような姿をした"物の怪"。
威圧感溢れるオーラに龍星は不安にもよく似た恐怖を抱いた。——自分は地元で恐れられる不良というのに。
(オイオイオイオイ……。何かマズい雰囲気じゃねぇか?)
「ゆ、許して…下さい…!!ききき、菊花様…!!」
「私が欲しいもの?
——そうね、富と権力と地位かしら?」
(——なんつー女だ!!)
龍星は周りから不良と言われながらも、読書は嫌いじゃないので図書室に足を運ばせれば…何て面倒で恐ろしい光景に遭遇せねばならないのだ。
…その女は左腕全体に包帯が巻かれており、地味な顔立ちをしているのに黒い怨念のようなオーラがおどろおどろしく放出されている…
「あははっ。アンタ、自分が何したか解ってるの?自我がなかったとはいえさ——罪は消えないの」
女の"殺気"のような、凍てつくオーラが放出された瞬間!!