魑魅魍魎の菊



声の発祥源はコンビニの駐車場の裏——白いワンピースを着た、髪の長い女の子が柄の悪いチンピラに囲まれていた!!


自分でも柄は悪いが、集りやナンパなんざダセェことはしない主義なんだよ俺は。



龍星は長い足でスキンヘッドを蹴り上げ、女の子を背後に庇うように立つ。



「何、寄って掛かってダセェことしてんだよ」

「あ"ぁ?!退けよ兄ちゃん!!」

「その娘は今から俺達が遊ぶんだよ!!」



後ろに立つ女の子は違うとでも言うように首を振る。——あっ、凄ェ可愛いかも。




「違ェって言ってるだろうがコノヤロー!!」



俺は得意の空手技で4人のチンピラを打ちのめし。一刻も早くこの場から逃げなくてはと、女の子の華奢な腕を掴んで走り出したのだ。



あまりにも腕が細くて怯みそうだったが、この娘が安心出来るどこか遠くの所まで——







だが、俺は失態をしたことに気がつかなかった。







その少女がチラリとコンビニの方を見つめ、その少女を見つめていたのは——紛れも無い…












——あの地味女だったんだからな。



後に後悔するのは誰であろう。


 
< 125 / 401 >

この作品をシェア

pagetop