魑魅魍魎の菊
頭がパニックに陥って、何がなんだが理解出来なかった。
先ほどの美少女が何故、"大蛇"になっているんだよ?!龍星の体はその蛇の尾に締め上げられ、骨がミシミシという音が耳に聞こえる。
「あ、あ"ぁぁぁあああ!!!!」
「——余計なことをするな人間。やっと人間を4人食えるところだったのにな…」
声は明らかに先ほどの少女で、あまりの痛さからなのか目尻から涙が溢れる。
——気持ち悪い、気持ち悪い気持ち悪い…
図書室で見た"あの光景"が蘇って、胃の中から色んなものが逆流しそうだ。——絞め殺される。
そう思った。
「…な、何でっ…!!」
「だが、お前は"強力な妖力"の香りがする…。これで少しは生まれ持つ"霊力"を掻き消すだろうな」
黄色の瞳を細める大蛇は舌をチロチロと出しながら、軽く龍星を味見するのだ。
「ひ、ヒイィィィ——!!」
「…ほぉ、美味。とても美味じゃ…」
背中がザワリとし、本格的に恐怖で目の前がチカチカとした瞬間!!
「——《万華鏡・地獄咲き》!!」
「御意、若!!」
「千影、援護に回れ!!」
俺の体から蛇の尾が離れて行った…。
(……誰だ、あの赤い着物のやつ…)