魑魅魍魎の菊




鈴の音が鳴り響く。全てを研ぎ澄まし、全てが癒されるその音。



「……とある派閥から、その指令は来ます」

「"とある派閥"?」

「……すみません、黙秘します」



小さな客間に場所は移り、玖珂さんの横に春菜さん。私の横に萩谷君が座る状態に居る。


蛇さんは狙われるといけないので、客間の隅に寝かしてある。もう暴れる心配はないよ。



「じゃあ主にその指令内容は?」





「……後に大罪を犯す妖怪の抹殺」



飄々と言った瞬間、





——ダンッ!!



萩谷君が机を思い切り叩いて私を睨んで来た。




「お前っ……!!妖怪だって生きてるんだぞ?!ただ面倒を回避する為の逃げ道の術じゃネェか!!んなダセェ事して、何が楽しいんだよ!!」



「龍星君、落ち着いて」

「だ、だってそうだろう親父さん?!」



この時間に意味を持つんだろうね。…みんなが生きている大切な"時間"であって、全てが特別なんだ…



「——そう、その派閥から発生する機関はそれを目的としている」

私だって、楽しんでやっているわけじゃない。そう萩谷君に釘を差した。


「隠密に行われている…の、お父さん?」

春菜さんの不安気な顔を見て、胸を痛めてしまう。


 
< 142 / 401 >

この作品をシェア

pagetop