魑魅魍魎の菊
鈴の音が鳴り響く。全てを研ぎ澄まし、全てが癒されるその音。
「……とある派閥から、その指令は来ます」
「"とある派閥"?」
「……すみません、黙秘します」
小さな客間に場所は移り、玖珂さんの横に春菜さん。私の横に萩谷君が座る状態に居る。
蛇さんは狙われるといけないので、客間の隅に寝かしてある。もう暴れる心配はないよ。
「じゃあ主にその指令内容は?」
「……後に大罪を犯す妖怪の抹殺」
飄々と言った瞬間、
——ダンッ!!
萩谷君が机を思い切り叩いて私を睨んで来た。
「お前っ……!!妖怪だって生きてるんだぞ?!ただ面倒を回避する為の逃げ道の術じゃネェか!!んなダセェ事して、何が楽しいんだよ!!」
「龍星君、落ち着いて」
「だ、だってそうだろう親父さん?!」
この時間に意味を持つんだろうね。…みんなが生きている大切な"時間"であって、全てが特別なんだ…
「——そう、その派閥から発生する機関はそれを目的としている」
私だって、楽しんでやっているわけじゃない。そう萩谷君に釘を差した。
「隠密に行われている…の、お父さん?」
春菜さんの不安気な顔を見て、胸を痛めてしまう。