魑魅魍魎の菊
し、しかもどれやっても似合っているから何かムカつくんですけど——?!
着流しを着て、華道や茶道、日本舞踊をやっても花になるから——本格的に女として負けているような気がする。
いや、もう…見た目からして負けてるよね。
「腕が痛むのか?」
「いや…心が痛いッスよ…」
心の中で密かに涙を流す私であった。
「で、菊花。ここに何しに来たんだ?」
「玖珂君の容態が気になりましてね」
小さく膝を抱えながら、蛇さんを抱きしめる。私は彼に謝らなければならないし、もうこの家に居たくないのが正直な気持ちだ。
「そうか——それでは、お春は何処に?」
「春菜さんなら台所で萩谷という男とご飯を食べています」
そう告げれば、スザクさんは立ち上がって私の頭をぽんと撫でて…廊下の先の闇に消えたのだ。
(どうしてだろう、不覚にも泣きそうになった——)
私は何にに飢えているのだろうか。——解らない事ばかりだね。
菊花は意を決して襖を開けたの。そして、「失礼します」と一言呟いて中に入る。
「……いちゃつくなら他所でやれ」
布団の中で丸まっている正影に案外元気そうで安心した菊花は顔を綻ばせた。中は薄暗くて、暗がりながら見える男の子らしい部屋に笑みが零す。
「嫉妬?」
「誰がお前みたいな"地味"に」
のっそりと起き上がる玖珂君に一発アッパーを入れたかったが、玖珂さんの制裁が恐いので止めておこう。
「そんなことを言うならさ、式神を使って盗聴してる玖珂君はどうなのさ」
「なっ…!」
いやー、何か寝間着がエロティックで目の保養になるぜジェイソン。