魑魅魍魎の菊
「場所を変えて——違う所でやろう、玖珂のテリトリーは当分は控える」
「解りました。他の者達にはそう伝えておきます」
諦めちゃダメだ、前を見よう。
夜風を感じ、月に照らされる菊花は薄く笑って鴉丸を見上げたのだ。
「——話したいことも家でちゃんと聞きますよ菊花様」
「ありがとう、鴉丸」
あの時から着いて行くと決めた、気高い貴女。
——深い愛情で私を闇の奥底から救い上げてくれたのだ。
もう迷いませんよ——あの時見た瞳に惹かれ、笑顔に魅せられて私は貴女に一生着いて行くと決めたんだ。
夜空が濃く、それを彩る星空には手が届かないが……
(貴女のお傍で守らせて下さいね——)
"傷ついた魂"を癒そうだなんて思わないが、せめてその笑顔だけは守りたいのだ。
今日も月夜が濃いでございます。