魑魅魍魎の菊
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「お前、最初からアレが狙いだったわけか?」
正影は自転車に跨がりながら、"とある事件現場"を指差した。
頬にはガーゼが張ってあり煩わしいが、面白いものが見えたので悪者のような笑みになっていた。
「ハハ〜ン、それはどーかなー?いやー"美鈴"よくやった。萩谷君の素晴らしいヘタレっぷりにこの菊花さんは朝から満足満足」
菊花も同じように悪巧みをするような笑みに…。そしてまた再発した左腕の三角巾。
「朝から奇襲かと思ったぞ…」
菊花は無謀にも早朝から玖珂家に押し掛けて、正影を攫って行くように引っ張り出したのだ。全く迷惑この上無いと思っていたが…
まぁ、心温まる場面を見れたので良しとしたいと思う。
「…"美鈴"ね…。今度会ったら知らない振りでもしとくか」
「そうだねー。いやー今日の昼当たりに萩谷君が美鈴の件で来そうだから意地悪しちゃおう♪」
フッフッフッフ——…
さてさてさてさて、どんな意地悪をしてやろうかと今から楽しみだが…
『リュウセイ!!学校、学校!』
『お、おぉ…。美鈴、一度あの"高村菊花"の家に戻れ。話付けるからな』
さっきまで、ほっぺにちゅーに驚いて慌てていたのに何だか嬉しそうだし…。
美鈴も幸せに笑っているから良いか。
朝日を浴びながら、菊花と正影は笑顔を零しながら二人を見守っていた。
「よしっ、私達も学校行きますかー」
「だな…。ほら、乗れよ高村」
私も何だか素直に玖珂君の自転車後ろに乗って、走り出すのだった。
風が気持ち良くて、何だか色々なものが変わってきたような気がするんだ。