魑魅魍魎の菊
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「……ゼーハーゼーハー…」
「お疲れさんだな」
萩原君が木陰で倒れる私に団扇で仰いでくれて、
「後で何か奢ってやるよ」
霧吹きを上から噴きかけてくる玖珂君。そして、全力で頑張った私。スンマセン、すぐに物に釣られちゃうんで。
先ほどの試合は私の頑張りのお陰か(?)相手クラスを全滅させたのだ。そして冗談ではなく玖珂君が私にジュースを奢ってくれるという。
そして萩原君も帰りにコンビニでアイスを奢ってくれるという素晴らしいオプションが…。
「で、何が欲しいんだ?」
「ア、アイスコーヒーを…」
「玖珂俺も一緒にジュース買ってく」
二人は立ち上がって、自販機へ旅立ったのだ。
「……い、いってらっさーい…」
そこには菊花の力無い声が響いたのだ。
「なぁ萩谷龍星」
「何でフルネームなんだよ」
二人は冷ややかな目をしながら腕を組んでいた。
「——不良さんとやらは、あぁいうこともすんのか」
「"あれは"不良でも何でもネェよ——
あんな格下」
龍星は輝く金髪を掻き上げて、唇を舌で舐めるのだ。