魑魅魍魎の菊
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どうも腑に落ちない正影だったが、ドッヂボールの試合なのでコートに出たのだ。そして偶然なのか龍星のクラスと対戦らしい。
「目にもの見せてやんぜ萩谷」
「へぇー。俺の豪速球その腹にぶち込んでやるよ玖珂」
コートで対峙二人に女の子の黄色い声が湧き上がったのは言うまでもない。そして密かに男子生徒の叫び声も聞こえたらしい——
「ちょっと玖珂っちも萩っちも、流血沙汰は避けようねー?普通の球技大会なんだからさ」
加藤は二人の頭上を浮遊しながら溜め息をつくのだ。
「バカヤロー加藤。男には避けられない戦いがあるんだっつうの」
「く、玖珂っち…?何か違うよな…」
「そうだぞ加藤。テメェみたいなインドアには解りかねないが、男は拳やスポーツで一戦交えないといけねぇ時がくるんだよ」
「アレ?萩っちいつもじゃネェ?!それに俺だって一戦交えた経験あるし!!!」
堂々とコート上で幽霊と会話を交える男子高校生も珍しいが、ここで菊花が居たらツッコミの嵐というのは言うまでもない。
ぐだぐだな感じで火蓋は切って落とされた。
加藤は宙に浮遊しながら、事を見守るが…。二つのクラスの応援の凄さにまず驚いた…。
(クラスや学年関係無しに女子の観客が多くない?!)
し、しかも…玖珂っちや萩っちを見て顔を赤らめている男子の説明に困ったが。取りあえず運動で疲れちゃったことにしようか。
そして、龍星にボールが渡って真っ先に正影を狙うのだが……いとも簡単に受け止められてしまうのだ。
(何か明らかにおかしい音したよね…)