魑魅魍魎の菊
悪の微笑みは残像を作る
現在、バレーボールの試合が無い利枝と栄子でソフトの応援をしているのだ。
女子は知らないけど、男子は割と全員仲が良いからコンビネーションは抜群だといえよう。
そして…
以前は上から眺めていた植木君のバッティング…。まさかこんなに近くで見られるとは思わなかったよ。
にしても、野球をしている植木君って凄い凛々しい顔をするのね…。
そのお陰か観客数が半端無いのは何故だろうか。
「イケェー植木ー!!そのままかっ飛ばせー!!」
「り、利枝サン…。キャラが違うッスよ…」
「ンな事言ってたら戦場で生き残れないわよ菊花!!」
「何のことよ!!」
ていうか普段冷静な利枝がスポ根に目覚めているよ…。
「いけいけA組!!頑張れ頑張れA組!!!」
なんかまともに応援してる栄子が輝かしく見えるよ…。そして、これぐらいの素直さを玖珂君と萩谷君に植え付けたいよ。
——いや、でも素直すぎる玖珂君とか恐いかもしれない。なんか、あれぐらい捻くれていた方が玖珂君っぽいね。
「常勝、A組!!一発決めてやれ!」
私がそう叫べば、A組のみんなが「オウ!!」と答えてくれたのだ。そして、バッターボックスに立つ植木君が素敵な笑顔を繰り出してくれて、みんなをメロメロにしてくれたよ。
うーん。「格好良い所を見せる」って……言うぐらいだから、ホームランでもかましてくれるのかな…
——みんなのために。
その瞬間だった、またもや胸がざわつくような突風が吹いたのは。