魑魅魍魎の菊
何故菊花がこんなものを持ち歩いているのか、正影は薄々勘付いてしまった。——…言われなくても、その左腕が不自由になっていることぐらい…見ていればわかる。
未だに取れていない、包帯と肩から肘にかけるサポーター…。湿布なんて気休めだろうが、無いよりはマシなんだろうな。
「さてさて、改めて自己紹介をしようか?私は二年の高村菊花!
——《魑魅魍魎の主》しております♪」
固まる井上君。
「へっ……?」
「玖珂正影、現役の《陰陽師》をやっている」
「えっ…?」
口がぽかんと開く井上。
「萩原龍星、まぁ……俗にいう《霊能力者》って奴か?」
「え、えぇぇえええええ!!??」
石化する井上の叫び声は学校中に広がったのはいうまでもない。