魑魅魍魎の菊
「モグモグ——…。確かにその高村は胡散臭ェぞ?」
「それは最もな意見だ"サラマンダー"とやら」
「ちょっとォ!!??よしみで少しぐらいはフォローは無い訳?!」
私が叫んで訴えるが、二人に「全くネェよ」と一刀両断されてしまった…。もう美鈴を引き取ってやるんだから!
「……トカゲさんさー、もう少し友好的に行こうぜ?」
「戯言を……。あのように傍若無人に人間を潰すのが…人間か。全く、穂積を虐げていた人間以下だな」
「な、何てことを言うんだサラマンダー!!」
井上は叫びながらサラマンダーを呈すが…。菊花は冷ややかな笑みを浮かべながら、サラマンダーを見つめた。
「貴方みたいな言葉を、そこの美青年から何度も聞いたことがあるから良いけどさー。私は"魑魅魍魎の主"なのよ?
——"人間"と比べるな」
その視線にゾクリと背筋を震わせたサラマンダー。…そしてこの先ほどとは打って変わった"気"。人間ではないのか、あの女。
いや……あの容れ物は人間。だが、そこから流れる力は紛れも無い"妖怪"。ついさっきまではただの人間だったのに…。
「比較対象が違ェんだよ。——解る?格すら違ェ。私は"畏れられる"存在でなきゃいけないの」