魑魅魍魎の菊






「ていうか——どうして井上はF組の連中から、あんな理不尽ないじめを受けていたんだ?」




この素朴な龍星の疑問により、詳しい事情聴取が始まった。
穂積は拳をぎゅっと握りしめ、ぽつりぽつりと話し始めたのだ。




「……僕…クラスでも暗いし、地味だし…卑屈で…。性格が仇になっているのか、キモいんだって…」






「「暗い」」

「っ!!??」


正影と龍星の辛辣な言葉が見事、穂積に突き刺さり涙目になる。



「まず、態度が暗ェ」

「覇気がない」

「陰気くさい」

「卑屈」

「見た目がやぼったい」

「"菊花"より地味」




「ゴオォォラァァァ!!!貴様等ァァ!!穂積を泣かすんじゃネェ!!!!」



上から萩原君、玖珂君と順序よく…

あらあらサラマンダーさんの怒りが強くて暑いッス…。そして、私より地味って…相当じゃないんですか。

…ていうか、二人ともズケズケと言い過ぎだよ。菊花は泣きそうになっている穂積の手を握りながら、よしよしと頭を撫でて上げている。




「で、その癖。井上の成績は学年一位ってことか?」

「俺を押しのけてな」

「えっ、そうなの?」


あらあら…って!玖珂君二位なの?!


ていうか、神様って玖珂君を贔屓しすぎだってば。何で麗しい容姿と才を授けるんですか。


全くもっておもしろくないわ!
 
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