魑魅魍魎の菊
「ンだよ妙案って…」
「チッチッチー萩原君。この私を舐めてもらっては困っちゃうなー!」
穂積君の柔らかい髪の毛を撫でながら、ニヒルな笑みを浮かべるのだ。
「本当は"菊花"の肩を持つわけじゃネェが…。あの"加藤"の以前の姿が井上みたいな姿だったんだよ」
「はぁ?!アイツそんなやぼったい感じだったのか?今やあんなに爽やか文系男子みてぇになってっけど…」
「ハッハッハー!自分のプロデュース出来ないくせに人のなら出来ちゃうのよねー!」
「自虐か」
「ですよねー」
辛辣な言葉をどうもありがとう、萩原君。菊花さんはとても哀しいですよ。
そして、私はまたもや笑う。人間、そう簡単には変われない。そう思った瞬間から「変わる」と豪語する馬鹿は居る。
そんな簡単に変わるはずがない。それで何が変わる?
ただ"一時だけの優越"ではないか。本気で変わりたいなら、本当に変えたいなら——
周りの"環境"から自分を変えるんだよ。それを断ち切る何かを生み出さなければならない。
そうでなければ、人間なんて何をしでかすかわからない。運命すら変える勢いでやれば、"自分"なんざ簡単に変えられる。
「で、妙案って何だよ」
玖珂君は怪訝そうな顔をしながら、お茶を飲み干す。
「全てはこの菊花さんに任せなさい!全ての全貌は休み明けよ!!」
そう宣言した菊花の笑みには、明るみが伺えたのだ。