魑魅魍魎の菊
野球部のユニフォームを着ており、その表情は明らかに"不機嫌"そうだ。
(——コイツ、嫌いだ)
「…や、やぁ…植木君」
「——何してんだよ高村。…それにそこの"一年"も」
——ピクッ…
一瞬だけ、舐めた目で見やがったなコイツ…。そして、何故か菊花の腕を掴み始めて自分に手繰り寄せてやがる。
んだよ…。面白くねぇ。
「——…オイ、そこの"一年"。先輩には敬語使え、そして女に対して怒鳴り散らしてみっともねぇぞ?」
「ちょ、ちょっと…植木君っ…」
俺は"植木"とやらを見据えながら、菊花の頭を掴みながらこちらに手繰り寄せた。
「俺が敬語を使うのは、自分の上に立つふさわしい奴だけだ。——テメェのようないけ好けねぇ奴なんぞに使うか」
そして、後ろから菊花に腕を回してニヤリと笑うのだ。
(って…。玖珂君の"上"に立つ人間おろか妖怪って居るの…?)
素朴な疑問と羞恥を覚えた菊花だった。
「ちょっとォォ!!玖珂君は〜な〜せ〜!」
「オイオイ…。
これから濃い夜を過ごすんだ、暴れるなよ"菊花"」
妖艶な笑して、艶のある低い声で言い放つのだ。
「ぎゃ、ぎゃあぁぁぁあああああ!!!」
顔を真っ赤にし、泣きそうな菊花がいたのは言うまでもない。